イルプルーのお菓子にしかあり得ないエピソード

皆さんは本当においしいグラスやソルベを食べたことがありますか?

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遅い春でしたが桜が咲いてからはあっという間に日差しが強くなってきました。

もう冷たいものが欲しくなってきましたね。

そう、グラス(アイスクリーム)とソルベ(シャーベット)の季節です。

皆さんは本当においしいグラスやソルベを食べたことがありますか? 多分「食べたことがある」と答えられる人は結構おられるでしょう。でもイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのグラスとソルベは、必ず皆さんが最高と思っているもののずっと上をいきますよ。

既にイル・プルー・シュル・ラ・セーヌには、とびきりのものがあります。今度マカロンの生地にサンドして、どこでも歩きながらでも食べやすいものを作りました。マカロンといっても、今流行の表面のツルンとしたマカロン・リスではありません。マカロンの原型の生地に手を加え、本当に香ばしい軽い歯ざわりの生地を作り上げ、その香ばしい豊かな味わいとグラス・ソルベが共鳴してさらにおいしさが大きく膨らむように作り上げました。もちろん私の感性でしか作り得ない、格別のおいしさのマカロンです。

まぁ、あちこちのレストランやパティスリーでグラスやソルベをやっていますが、どれもこれも、味わいのぼけた印象の乏しいものばかりです。グラスは材料の卵黄と生クリームなどの乳脂肪と砂糖の比率が舌ざわり、口溶けを左右します。香りはふっくらと、そして透明感をもった舌ざわり、口溶けも滑らかでシャープに、同時にバランスよくふっくらとしていなければなりません。

舌全部に味わいがしっかりと感じられ、切れ目のないように仕上げます。何よりもこのグラス、ソルベはデザートでもおいしく、そしておやつにもおいしく食べられるように甘味も強すぎることなく弱すぎることなくバランスを取ります。デザートとしては少し甘味がしっかりしている方がよりおいしく感じられます。暑い時のおやつとしては、甘味が強いと喉が渇きます。こんな全ての感覚を調整して一つの味わいを作り上げるなんてことは、もちろん私以外には出来ません。私でも12回では出来ません。私の感覚が満足するまで、1種類につき、56回は試作しました。もちろん、私自身が本当においしく感じるものしか店には並びません。

このようにグラスには使う素材の品質と共に、それを使って配合を組み立てる感覚が必要です。ソルベはより単純です。香り、味わいの本当にしっかりした果汁を選ぶ。ほぼこれにつきます。

私がフランス・パリのパティスリー・ミエで1回目の研修の時、ミエ店のグラスとソルベの旨さはまさしく衝撃的でした。それまで全く経験したことのない、未知の味わいでした。ソルベティエール(アイスクリームメーカー)は店の後ろにありました。グラス、ソルベを受け持った時は、店からしょっちゅうマダムがやってくるにもかかわらず、そのおいしさに我慢できず、何食わぬ顔をしながら、ガバガバという言葉が少しも誇張でないほどに、狂ったように口に詰め込みました。

「ンメーな、なんでこんなにンメーんだ」

まさに新鮮な、嬉しくなる驚きでした。そしていつか店を出したら、必ずこんな“ンメー”グラス、ソルベを作るんだと思いました。そんなわけでグラス、ソルベには強い思い入れがあります。

グラスとソルベは出来時が一番おいしく、そして贅沢なんです。店の喫茶では、お客様に注文を頂いてからグラス、ソルベを冷たい陶器の器で少し白っぽくなるまでよく練り、出来たての味わいに近づけてからお出ししています。今度のアイスマカロンは冷凍庫から出して混ぜないまま食べる普通のグラス、ソルベです。この場合はそれぞれの素材の味わいが表面に出にくい。まぁ、結構てこずりました。あとは食べる時のグラスの温度でかなり味が変わることも知ってください。カチカチのグラスはあまり旨くない。少し柔らかいぐらいがおいしい。

1週間に1種類ずつ1個の2分の1ですが、店で試食を配ります。その場でちょっと口に入れて試してください。まず最初はバニラ味のグラスです。

 

自分が作るグラス、ソルベを口にすればもう、他のものは食べる気になりません。とりあえずグラスはバニラ、キャラメル、ショコラ、ソルベはフランボワーズ、カシス、レモンの計6種類を完成させます。

5月23日(水)より販売開始

弓田亨の昔カステラ

どんなパティスィエにも真似のできない
孤高の味わいのフランス菓子を作るパティスィエが作る
真の日本の味わいのカステラ

皆さんは最近、「日本の味、カステラ」を食べたことがありますか? 有名な文明堂、長崎の福砂屋、それらや巷の多くのカステラは昔の、少なくとも私が菓子屋の見習いに入った頃の味わいではありません。
カステラの作り方はとても単純です。そしてこれには生クリームもバタークリームも塗りません。正にスポンジケーキ、生地だけの味わいなのです。そこに、それぞれの店は自分の店だけのオリジナルの味わいを作るために、様々の、その店ならではの工夫を凝らします。使う砂糖は上白糖だけでなく、より香り、味わいのしっかりした茶色がかった麦芽糖の水あめを使います。そして蜂蜜を加えたり、また醤油を少量加えてその店独自のカステラを作ろうとします。そして歯ざわり、口溶けも力強く、素朴な、幸せを感じるおいしさでした。
本当に昔のカステラって、おいしかったんです。私も洋菓子の道に入ってからもずっと大好きでした。しかし、このカステラも、他の食べ物、飲み物と同様に、時代と共にあっけなく味わいの単純さに翻弄され、全く以前のものとは変わったものになってしまいました。より甘くなく、少しのざらつき感もなく、ただソフトさだけの単調さだけのカステラに突き進んできました。
いくつかの店のものを食べてみても、個性的な香りは皆無です。食感はただ滑らか。柔らかく。それだけです。味は全く平坦で、口に入れても何の楽しさも嬉しさもありません。正に今、日本の多くの食べ物や飲み物と同じように、口には出来るだけ何も感じない方がおいしいという、狂った嗜好によって作られているのです。

私はこの日本人の心を忘れたのっぺらぼうな味わいのカステラは、極めて異常な、人間性を喪失した食べ物であり、人の心と身体に幸せを与える本来のおいしさではないことを皆さんに提示したかったのです。

私が菓子屋になった和洋菓子店の和菓子の職人さんが作るカステラの切れ端はよく食べていました。カステラの配合は、卵と砂糖の量が同じであり、その半分が粉であることを覚えています。この記憶だけを基に、カステラの試作が始まりました。他の店のレシピを参考にすると型にはまったものしか作れないと思ったからです。
まず卵と砂糖を同量にして、粉をその半分にして焼いてみる。そして食べる。少し歯に粘る。粉を5%ずつ減らして、少しずつその粘りをとっていく。ある程度にくると、私のイメージの中の歯ざわり、口溶けに近づいてくる。しかし焼き上がった生地のスダチが粗く、歯ざわりも、どうも少し粗い。砂糖の分量を5%ずつ減らし、スダチを細かくしていく。酒、水分の量は何%まで生地にしっかりと吸収されるかなどを確認していく。そして香りを立てるために、日本酒やキルシュを少量加えたりする。何度かやってキルシュはカステラには合わないことを知り、振り出しに戻る。それではシナモンを少し加えよう。適量を決定するために、さらに2~3度の試作が続く。こんな具合にして、26回目の試作でようやく私がほぼ納得するものが出来ました。

何もないところから試作を始めたのは私の五感にピッタリ重なるカステラが欲しかったからです。でも試作も15回目を過ぎると、全体が把握できない状態になります。頭の中がグチャグチャになりましたが、私のたった一つの取り得、並みではないしつこさと、試作を手伝うスタッフ山﨑の正確な記録、大きなアドバイスが何度となく私を支えてくれました。

甘さに豊かな味わいと力を加えるために、糖分は上白糖、玄米水あめ、赤砂糖、味・香りの強いフランス・プロヴァンスの百花蜜の蜂蜜。これだけの種類の甘みを加えます。香りも、ろ過していない味わいの強いにごり酒、シナモン、ナツメグを加え、香りに力を与えます。そして私ならではの技術によって焼き上げます。26回目の試作で出来た「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのカステラ」、巷のものと比べれば、そのおいしさの違いはあまりにも大きいです。

香りも、歯ざわりも、味も、幾重にも重ね、作り上げた、正に「孤高の味わいのカステラ」なのです。私はフランス菓子を作るパティスィエですが、心と身体が喜び、幸せにする食は、和菓子、家庭料理、全て同じです。
特に和菓子は有名店も無名店もすべて、味も食感も感じられぬほどに薄っぺらに単純化し、弱くすることが最上の繊細な味わいと考えています。どら焼き、まんじゅう、大福、桜餅、決して食べる人に喜びと幸せをもたらさない人間性を喪失した形式的な味わいに侵されています。和菓子の世界にも人間性が復興されなければなりません。私のカステラは、その先鞭となるものと思います。

是非、食べる人の喜びと幸せのためのカステラを一度、お試しください。

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イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ、春のパン祭りを前に

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パティスリーには、さまざまなパンが並んでいます。発酵生地でバターを包み、折りこんで焼き上げたヴィエノワズリー(ウイーン風)、クロワッサン、パン・オ・ショコラ。あんまり売れません。でも、これらだってもちろん、日本で一番おいしいんです。少なくないフランス人が、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのクロワッサンなどを、「Les croissants d’ici, c’est le meilleur(ここのクロワッサンが一番旨い)」と言ってくれました。これは私が修業したフランス、パリの「パティスリー・ミエ」のものを手本にしたものです。フランスと日本の粉は味わいだけでなく科学的・物理的性質まで異なります。とても難しい。日本の粉で、ミエの味わいを再現するには、実に5年以上が必要でした。自分の舌と科学的な思考法で何度も何度も試作を重ねた末の完成でした。

そして誰もがそのおいしさに驚き、賞賛するアンコ入りクロワッサン。とんでもなく旨い。

ブリオッシュだって、バターのリッチさとソフトさ、いっぺんにほれ込む味ですよ。

そして朴訥さと力強さの極みのパン・オ・ノワ(胡桃入りパン)。間違いなくフランスのものよりずっとおいしい。

フランス、ロアンヌ地方のブリオッシュ・プラリネ。口に入れて噛むと、正に至福のおいしさが口の中に溢れます。「よくこんな旨いのが日本の粉で出来たよな」これが実感です。

そして本来はパンなのですが、フルーツを極限まで増してお菓子へ進化させた私ならではのパン・オ・フリュイ・セック。パン生地にとんでもなくいっぱい詰まったドライフルーツに、皆さんがビックリされます。これがまた、日々が経つほどにフルーツの香りが深まり、たまらなくおいしい。「んー。んー。うめーなぁ」と呻りながら食べている自分に気づくことがよくあります。半月くらいはますますおいしい。

売れ残ったブリオッシュを使って作るクロワッサン・オ・ザマンドゥやボストック、他の店のもの何かと比べないでください。力に満ちた豊穣の極みの味わい、一度食べたら間違いなくとりつかれてしまいます。

もちろん、土日限定のサンドイッチに使うパン・ドゥ・ミ(食パン)も自分達で作ります。あのフニャフニャの歯にまとわりつき、口の上にぴたりと張り付く食パンとは思わないでください。しっかりした歯ごたえ、舌にしみる滋味、たまらなく旨い、安心感が一度に湧いてくる旨さなんです。これに、しっかりした味わいの自家製マヨネーズやハムをはさめば、もうもうもう、とんでもなく旨い! 一日に10個ほどしか作れません。私達は先に出を出すことは許されません。お客様優先。売れ残ることを祈ってしまうくらい、私達が食べたいサンドイッチなのです。時に雨の日の夕方、残っているとすかさず予約。次の日の朝が楽しみでありません。この日本で、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのサンドイッチよりおいしいものはないと思います。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌは生菓子やクッキーやショコラだけでなく、パンもこんな具合なんです。全部、自分の舌が満足するまで時間をかけて作り上げてきたものばかりです。同じもので、これ以上においしいものはまずないと思います。とにかく一度食べてみてください。ここに書いてあることが真実であることにすぐに気づかされます。

 

 

ホワイトデーに。イル・プルーだから出来るおいしさの焼き菓子。

もう既に,イル・プルー・シュル・ラ・セーヌに何度もお出で頂いているお客様はご存知と思います。
私共の新しいギフト用お菓子のパンフレット「孤高の味わい 幸せと真実を贈る」は読んで頂けたでしょうか?

たくさんの焼き菓子、マカロン、クッキーなどが、全て私の言葉で書かれています。本当はこのパンフレットの何倍もの自慢の焼き菓子があります。私共の焼き菓子はどれ一つとっても、他にこれ以上のおいしさはないことを私は断言できます。本当に旨いんです。正しく「孤高の味わい」としか言いようがありません。

私の生涯の友、フランスの正統な伝統の中で育った最後のパティスィエ・キュイズィニエ(料理人)であるフランス、パリの高名なるパティスリー「ミエ」のオーナー・シェフ、ドゥニ・リュッフェルに「どんなパティスィエも嫉妬して当たり前のおいしさ」と言わしめたコーヒーとウイスキーのパウンドケーキ、殆どの人がおいしいと勘違いしている気持ちの悪いどぎつすぎる原色のマカロンに愛想をつかし、自ら自然の素材だけで作り上げた30種類のきわめつけのおいしさのマカロン、こんなことを出来るのは世界中に私しかいません。

かつて昭和天皇の大喪の礼の折、元首相の福田赳夫氏が、親しかったお二人の国家元首にイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのクッキーの詰め合わせを贈ってくださったことがありました。これは私にとって生涯の勲章なのです。

ホワイトデー定番のホワイトチョコレートのガトー・ショコラ。私以外のパティスィエには決して浮かびえないイメージの焼き菓子です。これは私の心の中にある多感な思春期の自分が持っていた、やはり多感な乙女心への憧れの感情を表したものです。パッションフルーツとオレンジとレモン、ホワイトチョコレートが、蒼く重なり合い、清冽な、でも優しく透明な息遣いが感じられる味わいなんです。これを食べたお菓子教室の生徒さんから「ユーミンの歌みたいな味がする」と言われたことがありました。確かにそれとも重なる、貴方の恋心を伝えるための素晴らしい手助けとなるかもしれません。
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もう一つはチーズのパウンドケーキ。もちろん、これだって他のパティスィエには出来ません。とにかく、とにかく、ふっくらと、ぽっくらと、暖かい暖かい味わいなんです。驚くほどに暖かいんです。私は全体的には極めて小心者なんですが、その中にはいろんな私がいます。この暖かい味わいは、肩幅の広い、人を優しく大きく包めるような人間になりたい、私の憧れでもあるのです。
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さらにはブルータスやクロワッサン、その他の雑誌で「手土産日本一」に選ばれ続けた塩味のクッキーもあります。

こんな風にイル・プルー・シュル・ラ・セーヌにしかあり得ないエピソードは、もちろん、焼き菓子においてもあってしまうんです。

バレンタイン迄は、来店されたお客様に試食のトゥリュフをお持ちいただいて、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのおいしさを再確認して頂きました。やはりイル・プルー・シュル・ラ・セーヌはショコラも本当においしいんです。チョコレートそのものの味わいも、イメージも、まったく他とは違うんです。きっとバレンタインデーには、私共のプティ・ショコラを頂いた方もおられると思います。如何でしたでしょうか? そのおいしさに肩を並べることが出来る焼き菓子、もちろんそれはイル・プルー・シュル・ラ・セーヌにしかありません。見てくれだけで大しておいしくない焼き菓子をお返しして、お客様の品格を落とすことのないように、くれぐれもお気をつけください。

店主・弓田亨

いずれも3月2日~14日までの限定発売です。
☆ホワイトガトーショコラは店頭のみでの発売
☆チーズのパウンドは大きなサイズが配送可。
詳しくはHPをご覧ください。

プティ・ショコラについて

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果たして日本にどれだけチョコレートの味わいを知っている
パティスィエやショコラティエがいるのでしょうか?

ほとんどの日本のパティスィエやショコラティエがフランス、ヴァローナ社のチョコレートが最もおいしいと思っています。
自分の舌でそう感じているからではありません。日本の名のあるプロがそう言っているからです。しかしそのプロはチョコレートの味を知っているのかと言えば、そうではありません。フランスで有名なショコラティエが言っているからとか、そんな理由に過ぎません。フランス人は、日本と比べれば小さい頃からチョコレートをかなりたくさん食べていることは事実ですが、多く食べているから味が分かっている訳ではありません。多くのフランス人パティスィエやショコラティエもヴァローナのチョコレートをおいしいと思い込んでいるのですから。

日本の真似なんでしょうか。最近フランスでは味わいの薄いチョコレートが好まれているように思います。でもやっぱりチョコレートは深い味わいと、口に入る前、噛んでいる時、噛み下してからの香りなんですよ。

フランスは今、週35時間労働のため時間が足りません。味わいを深めるためでなく、手を抜いて時間をかけないで効率を上げるための技術がもてはやされているのです。
そして、加熱した生クリーム、チョコレート、その他を混ぜ込んでクレーム・ガナッシュを作る時でも、手っ取り早く出来るフードプロセッサーで作ってしまいます。
でもフードプロセッサーはとても力が強くて様々の素材が混ざりすぎ、それぞれの素材の個性的な味わいが消えて、平坦になってしまいます。そして料理やお菓子と同様に見てくれや、奇をてらった形だけの味わいが幅を利かせています。
昔ながらに、本当の手作りでやっているところは確かにとてもおいしいところはありました。
しかし特に最近、新しく名の売れてきたショコラトゥリーは、かつてはフランスが大事にしていた味わい、野生味と繊細な味の組み合わせをもう忘れてしまったように思えます。
味わいのはっきりしないボケた味のプティ・ショコラを作っているように思えます。でも日本人は、“フランスで作られた”ただそれだけで有難がって味わいの真贋を確かめようとはしません。

*イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのプティ・ショコラのラインナップはこちらをご覧ください。
http://www.ilpleut.co.jp/gateaux/chocolat/index.html

チョコレートの体系は既に数十年前に築かれています。
三十数年前までスイスにコバという素晴らしい製菓学校がありました。
そこで学ばれたドイツ人パティスィエに私は初めてチョコレートを教わりました。
当時は国産の味わいの劣るチョコレートで作っていましたが、それでも目鼻立ちのはっきりした、個性的かつ印象的な味わいのプティ・ショコラばかりでした。
初心者ながら本当においしいと思いました。
もうこの時期に、チョコレートは味わいとしては確固とした体系が築かれていたのです。今あるフランスのチョコレートはかつての味わいから進化されているとは思えません。フランスの時代背景と共に実にしまりのない曖昧な味わいになっているような気がします。
フランスの有名シェフの店のプティ・ショコラをもらって食べることがありますが、本当に心打たれるおいしさはほとんどありません。
食べる人に喜びと幸せを与えるためではなく、マスコミに気に入られるような奇をてらった、素材の組み合わせとか形だけにうつつをぬかしているショコラティエが多いような気がします。
これは料理も、お菓子も、ショコラも、同じなのです。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのショコラは、
五感に強く迫る、本来のショコラの味わいを作ります。

教室の生徒さんとフランスのオーベルニュ地方の町イッサンジョーの国立製菓学校で研修旅行に何度か行きました。
同じ週にMOF(フランス最高労働者賞)のショコラティエの技術講習会があり、食事のデザートとして何度かそこで作られたプティ・ショコラが出ました。もちろん、まずいということはないのですが、味わいにメリハリがなく、少しも印象的な味わいではない。まぁこんなものかなと思います。
日本に帰ってきて、ちょうどイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子教室でショコラの授業がありました。終わってから自分の作ったプティ・ショコラを食べてみます。これがやっぱり旨いんです。とにかく味わいに曖昧さがない。作り手(私)の意図する味わいがしっかり表されています。しっかりと、鼻と舌に香り、味わいが焼きつけられるのです。一個の満足感がとても大きい。でもこれは実は当たり前のことなんです。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのショコラの味わいは、コバ製菓学校の味わいの体系をイメージに置き、印象的な味わいを作り出そうとする意志がしっかりとあります。
そして何にでもフードプロセッサーを使うことなどしない。
私達の技術はどうやって短時間で終わらせるかのための技術ではなく、常により深いおいしさを作り出すためにだけ、技術があります。
そして、フランス・ペック社のチョコレートやプラリネがあります。とにかくここのチョコレートは味わいに芯と力があり、深い味わいを持っています。

ペック社はパリ郊外サンジェルマン・アン・レイに近い住宅地にある年産1000トンの小さな、正に手作りのチョコレートの会社です。社長のデルシェさんはチョコレートに深い知識を持ち、自社が作るチョコレートに絶対的な自信と誇りを持っています。
そしてアフリカや南米に、少量ではあるが個性的で印象的な味わいのカカオ豆を買う強いコネクションを持っています。デルシェさんは卓越した味わいの感覚に従ってカカオ豆をブレンドし、個性的な味わいを作り上げ、品質管理にも最善を尽くします。
よくあるように日本向けに手抜きの品質のものを送るなんて汚いことはしません。
ホワイトチョコレートはカカオ豆から抽出したカカオバターに、暖かくふっくらとした味わいの、サトウキビから出来た砂糖と、フランス・ランデ地方の豊穣の極みとしか表現のしようがない全脂粉乳を使います。とにかく両の頬に暖かく人懐こく語りかけるおいしさは凄すぎます。
生菓子を作る時でも、生クリームにこのホワイトチョコレートを生クリームの30%ほど加えると、日本の無味乾燥な味わいの生クリームもフランスの物と同じくらいに感動的においしさが増します。
スイートチョコレートのクーヴェルチュールは、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌでは3種類をとっています。
芯のある印象的に香りを放つスーパーゲアキル。上品に穏やかなふっくらとしたバランスのあるアメール・オール。香り味わいに朴訥な暖かい味わいを持つペルー。
いずれもがはっきりした役どころの違う、しっかりした力強い個性を持つもので、ガナッシュを作っても味わいのガサツな日本の生クリームに負けずに、はっきりと自分を主張します。

プティ・ショコラだけでなく、ペック社のチョコレートを使うことによって、様々のお菓子の表情が蘇り、私のチョコレートのお菓子へのイメージと実際の味わいとの隙間を完全に埋めることが出来たのです。

さらに私達にはフランス・アルザス地方、ルゴルさんの神様の手を借りたとしか思えないリズムを持って頭を突き抜ける香りのキルシュ、ブルゴーニュのジョアネさんの神が与えた豊穣をたたえたリキュールがあります。
オーソドックスなチョコレートの本質を捉えたレシピ、ペック社のチョコレート、秀逸なるオ・ドゥ・ヴィ、リキュール、世界で最も深い味わいを持つスペイン・カタルーニャ地方のアーモンド。そしておいしさのために全てを注ぎ込む私達の意志。
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのショコラはおいしくて当たり前なのです。

シュトレンとビルヴェッカ

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このシュトレンは、私なりに手を加え、3年前の私の毎年の新作菓子発表会で作ったものです。
ご主人が外交官でドイツに3年ほど滞在されている方が、ちょうど帰国して参加されました。そして試食のシュトレンを食べて大感激。こんなにおいしいシュトレンはドイツにもないと言って頂きました。去年、このことを謳い文句にお薦めの文章を書きました。

とてもよく売れました。クリスマスから2日後、1通のメールが届きました。
「ドイツよりもおいしいとのことでしたので、とりあえず1本買って食べました。本当においしかった。私は過去ドイツのお菓子屋さんの家に2年ほどホームステイしました。そこで様々のお菓子やシュトレンもいっぱい食べさせてもらいましたが、イル・プルーのシュトレンはドイツのものよりずっとおいしい。機会があれば是非ドイツの職人さんに食べさせてあげたい」
もちろん私はじめとても嬉しいお便りでした。
そして最後に、「1本しか買わなかったのが本当に残念でした」との言葉がありました。

シュトレンだけではありません。ビルヴェッカだって同じですよ。私はフランス・アルザスのものよりもおいしいと自信があります。フランス・スペインなどから自分の舌で選び、集めた本当に旨いドライフルーツに、しょっちゅう国際コンクールで金賞・銀賞をとっているルゴルさんの神様が手を貸してくれて出来上がった、天にも昇るような香りのキルシュがあって、私のセンスがある。おいしくできない訳がありません。

これだけではありません。私なりのザッハトルテ。デモンストレーションと試食会を開きました。本当に日本人てどこにでも行っているんですね。参加者の中に、本場のザッハトルテを食べている人が5人ほどおられました。口々に「本場のザッハトルテよりずっとおいしい」と満面に笑みをたたえて言われました。
ガトー・バスクだってとんでもなくおいしい。

もう、言うまでもありません。こんな言葉やエピソードがあるのはイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子しかありません。


【シュトレン】
キリスト様が包まれたおくるみを表しているとのこと。世界で最高においしいと私が考えるスペイン、カタルーニャの内陸の地レリダのアーモンドを私自らが輸入したからこそ可能になったガトーバスクと共に、私の人生の誇りと呼べるお菓子です。

【ビルヴェッカ】
フランスのアルザスの言葉で「梨」の意味。干し洋梨をメインに様々なドライフルーツをキルシュと香辛料に漬けて、少量のパン生地をつなぎとして焼き上げるクリスマスのお菓子です。

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