菓子

手作りの心を失った日本の昨今のフランス菓子業界

「手作りの心を失った日本の昨今のフランス菓子業界」へ添える文

今、時代の流れはパティスィエの手作りの領域を完全に破壊しようとしています。

パティスィエの仕事は毎日がコンクールであり、“体力と知力の限りを尽くしておいしいお菓子を作り、それをお客様に日々お出しする”、それがパティスィエの全てです。

 

私ははっきり言います。テレビに出るのが仕事の有名シェフと、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子を食べ比べて下さい。どちらが正義なのかは誰にでもすぐに分かります。






私達手作りの菓子職人にとって、もっとも大事な事は、本当においしいお菓子を日々作り続けて、お客様に心からの満足を感じて頂くこと以外にはありません。

しかし、おいしい食物、お菓子を作り続けることはそんなに簡単なことではありません。

常に技術の進化を志し、美味しさのイメージを高め、高い集中力を常に持ってお菓子を作り続けなければなりません。これには、心を体力の高度な集中力が求められます。

 

 

(パティスィエは、厳しい肉体労働の領域)

フランス菓子のパティスィエというと、何か華やかな、常に明るいスポットライトをあびているような職業とみてパティスィエになる人も多い。

しかし実際はパティスィエは肉体的精神的に過酷な職業なんです。

使う機械も限られているし手作業の必要な部分がとても多い。体・手・足を動かし続けなければならない。本当の手作りとなれば18時間の労働時間では満足なものは何も作れない。

一つのサインで何千万、何億の金が動く、銀行や不動産、あるいは大きなメーカーとは労働の質は全く異なります。

そしてどんな高いお菓子でもせいぜい1個は5600円が妥当な値段であり、どんなに一人の人間が労働時間を10時間かけても作れるお菓子の数は限られている。

ちゃんと手をかけて作れば作るほど作れる数は少なくなり、利益は低くなる。

これが今、短い労働時間・高い家賃を背負っての、特に大都会での困難なお菓子作りです。

 

(自分の生き様としてのお菓子作り)

それでもやり続けるのは、私には今さら他に何も能がないのは勿論ですが、これが自分を表現する唯一の手段であり、生き様としてのお菓子作りを自分の心に恥じぬようにまっとうしたいからです。自分の心が満足できるもの以外はお客に出さない、そんな気持ちでやっています。

 

 

(お菓子屋にとっては毎日が息の抜けないコンクール)

私達お菓子屋にとっては毎日がおいしいお菓子を作り、それを食べてもらい、そしてお客様に評価してもらうコンクールなのです。

そして自分の心に嘘をつかないで、自分の信じる味わいの為にベストを尽くす、ヤセ我慢比べのコンクールでもあるんです。

 

 

(日々のつらい仕事をまっとうしてのみおいしさは可能になる)

でもおいしいお菓子を作るというのは5年や10年ではかないません。

フランスに勉強に行って帰って来ても、人の心を打つおいしい真のフランス菓子は、100%に近いパティスィエができません。今はフランスからの菓子の素材も数多く輸入されていますが、牛乳・生クリーム・バター・卵・粉などの基本的な素材には、フランスと日本の間にはとてつもなく大きな違いがあります。これは素材の味わいだけではなく物理的化学的性質まで異なります。

フランスと同じレシピ・技術で作っても決して同じ味わいは作れません。

でも、この素材の違いを克服するのはとても難しく、私でも、やっと形が少しついてきたかなと思えるまでには初めての渡仏から15年弱が必要でした。

でも、このとてもつらい仕事を100%に近い日本人パティスィエはさけて通っていっぱしのフランス菓子のパティスィエ面をします。これがどこの菓子屋へ行っても菓子がまずい一番の理由です。

テレビや本によく出ている有名シェフ、いっぱいいますけど、本当にうまい菓子を店に出しているところはどれだけありますか。

 

 

(若いうちに味わいを作り上げる訓練をしなければならない)

○この味わいの訓練は、日本の素材で日々真剣に仕事をすることによってのみ可能となります。そしてそれは35才までです。それをすぎるとなかなか鋭い味のセンスは不可能ではないが難しくなります。

○飴細工とかピエスモンテ(何の意味もない馬鹿の一つ覚えの砂糖で作るオブジェ)などは、そればかりやっていれば誰でも2年ほどやれば形がつく。一番気楽で簡単なパティスィエとしての形をつける手段です。

 

 

(日々の仕事に目をそむけ一発あてる)

でも今は私のように考えそれを実行するパティスィエは極めて少なくなりました。

日々の菓子作りの仕事にベストを尽くすことはとてもつらいのです。味わいの高さ・追求は肉体的精神的にもとても難しいのです。

大分前ですが日本人パティスィエがコンテスト、クープ・ドゥ・モンド一位になって以来、日本の菓子業界アルティザンの領域は一気に崩壊に向かいました。

 

マスコミは世界のコンテスト優勝ということで、お菓子作りとはどのようなことなのかは全くわからずに華々しく取り上げます。そして愚かなマスコミだけが唯一の判断基準である日本人は、その全てを信じ込みます。

そして形だけを追い求める利口でない日本人はコンクールで1位を取ったパティスィエの名を借りて簡単に儲けようとして、パティスリーのプロデュースなど、名を借りるために高い金を払います。大立身出世、あっというまにお金持ちパティスィエができあがります。

こういう華々しい面を見るともう誰も、特に若いパティスィエは、日々のおいしいお菓子を作るなんてどうしようもなくみみっちく馬鹿らしく思えて、もう誰もおいしいお菓子を作れるようになろうとは思いません。

あっという間に殆んどのパティスィエが飴細工やピエスモンテだけに夢中になります。

今ほど基本的な味わいの為の技術や考えがおろそかにされたことはありません。

 

(金とゴルフとテレビ出演は技術をストップさせる)

私はお菓子作りが好きでしたから、必ずうまい自分のお菓子を作れるようになりデコレーションなどもきっと上手になるんだと思って頑張りました。1回目のフランスに行く前に東京のお菓子屋でチーフをしていて、一度赤坂にあるキャバレー「帝」へ乳業メーカーの接待で連れて行かれたこともあります。人間ってその気になっちゃうんですね。自分がえらくなったと勘違いしてしまう。でもこういうのにはまってしまうと、自分のお菓子はストップしてしまうと思い、それ以来そういう接待には行ったことはありません。

1度目のフランスへ行ってからは、かなりフランス菓子にのめりこんでいました。一度誘われて少し練習してからゴルフコースへ出たことがありましたが、あんまり面白くて、又、ゴルフにつかると大体仕事はいいかげんになってしまう菓子屋や料理人を見ているので、ゴルフもそれで止めました。

テレビ出演の話も度々ありましたが、やはりテレビに出たとたんに自分を勘違いして仕事をおろそかにする人を何人も見ているので、自分の心とお菓子作りの技がちゃんと形をつくるまで断わり続けました。

お金にも負けないようにと気持ちを引き締めていました。やはりお金を手にすると特に仕事以外で得たあぶく銭の味をしめれば、仕事なんかどうでもよくなります。特に自分は怠け者だから気を付けなければいけないと金は遠ざけました。何社かメーカーの材料を推薦してほしいと依頼が来ましたが、その素材は私には良いとは思えなかったので受けませんでした。勿論リベートがある話です。でも、自分が良いと思った材料は積極的に勝手に推薦しましたが、お金を受け取ったことはありません。当時の私は対外的にもかなり力がついていました。誰も見向きもしなかった「明治の発酵バター」が、私が使い始めるとあっという間に菓子屋の間でトップブランドになりました。

ドゥニ・リュッフェルさんのお菓子料理講習会は2/3の回数が赤字でしたが、後援はどこからも受けないでやってきました。

「暮しの手帖」と同じように。

小田急沿線にあるパティスリーの有名オーナーパティスィエの中には、「自分は店をオープンする時、機械類には1円も使っていない」と、来る人に自慢していた人もいます。何百万の機械ですよ。今だったら千万をこえるでしょう。要するに自分の名を利用してただに持ってこさせた訳です。そしてそういうことができる自分は凄いだろうと自慢する訳です。

400万円もするオーブンをただで納入するから是非使ってみてくれ、などという依頼もありました。勿論断ります。有名シェフにただでいく分のお金が普通のパティスィエのオーブンの値段にのっけられるんです。そんなことはパティスィエとして以前に人間としてできない。

 

 

(色んな誘惑を断ってきたから、誰にも作れない孤高の味わいを作れる自分がある)

道を誤っていれば生来怠け者の私はどうしようもなくまずい菓子を当たり前のように出す厚顔無恥な、正に、みみっちいパティスィエだったでしょう。

今、代官山の店の前の通りには、「ここが日本で一番おいしいフランス菓子のイル・プルー・シュル・ラ・セーヌです」と堂々と看板を出して商売をしています。しかし自信を持ってこう言えるようになるまでは勿論お菓子作りの仕事も頑張りましたが、金、テレビ(名誉欲)、ゴルフと様々な雑音を遮断して自分の心を律して来たからこそ可能だったのです。

(皆さん騙されないで下さい。コンクールで世界一になったからと言って

うまい菓子が作れる訳ではありません)

お菓子屋の店頭には多くの種類のお菓子が並んでいます。

生菓子25種位、クッキー類15種類位、パン類10種類、パウンドケーキ数種類、そして季節によっては氷菓、プティ・ショコラです。

これらを全て一定水準で作り続けることはとても大変なことです。

しかし、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌでは福田シェフの下、日本で一番おいしいお菓子を作り続けています。

お菓子屋にとって最も大事な本分、何度も言いますがそれはお菓子のおいしさが全てであり、その為に知力・体力の全てを注ぎ込むことなんです。

でも、砂糖のオブジェ作りを一番にして来た人には、まずおいしいお菓子は作れません。

世界のコンテストで一番になったと言っても、飴細工を中心とした砂糖のオブジェと綺麗さ・見てくれだけの形だけのお菓子です。特にオブジェ作りは、パティスィエの日々の大事な仕事の一部分でも全てでもありません。コンクールで一位と言うとお菓子の味わいも全てが一位と皆さんは思われるでしょうがそうではありません。

これらはお菓子屋の日々の大事な仕事とは全く異なる特殊な領域の仕事なのです。こればっかりにのめりこんでいるパティスィエはまずお菓子の技術的基本を全く知りません。うまい菓子などできる訳はありません。まあこれは多くの人がもう分かっているでしょう。ですからこればかりをやっている人達は、正しくはパティスィエではありません。「砂糖を原料としたオブジェ屋」に過ぎません。

こういう人達にとって、旨い菓子など興味ありません。いや、作りたくても不可能です。要するに何でもいいから「世界一」という肩書きを得てマスコミに取り入れ、これを手段にしてあぶく銭を手にしたいだけなのです。「まれ」という朝ドラ、何度か見ました。ある有名パティスィエがお菓子作りの技術の監修者とのことでしたが、それにしても「まれ」のお菓子の作り方は稚拙ででたらめだらけでした。あんな作り方では、とうていうまい菓子はできません。まあ、ただあきれました。

 

 

(もう一人の大成功の、猿回しのご主人様よりえらくなった猿パティスィエ)

ここではとりあえずパティスィエと書いておくが、こんな猿のような人間が私達のパティスィエ仲間であることはたまらなく恥ずかしい。

初めは日本のフランス菓子業界の月刊誌で彼の技術のあまりの稚拙さを知りました。

パリである日本人のパティスィエが店を出したということは聞いていた。まあ大変だろうけどいいお菓子を作ってくれればなあと思っていました。

パリで店を出したということでしばらくして正しく時のパティスィエでした。日本菓子協会で企画した、このパティスィエのフランス菓子講習会がありました。その内容が詳しくのっていました。

あれ、まーっ。あまりに程度の低い稚拙すぎるお菓子・技術に目を疑いました。ただパリへ店を出したからといって、すぐに飛びつく、協会の中心にいる人たちの定見のなさにただただあきれました。

ちょっと読んだだけで、とにかくまずすぎる菓子だろうと察しがつきました。

「こんなのがパリで作られて、フランス人に売られてんの、全く恥ずかしいよな」というのが一番の思いでした。

まあ、でも、このパティスィエ本人はお菓子造りに手をださず、他のパティスィエにまかせれば何とか売れるものはできるかと思いました。彼が一緒に作れば危ないでしょうけど。

でも、日本人も日本人のパティスィエも本当に馬鹿ですよ。

このパティスィエの名を更に高めた、抹茶のフィナンスィエ、旨い訳がない。奇をてらって自分のお菓子の稚拙さを隠そうとする、この手の人間が思いつく全くチャチなやり方です。

フィナンスィエは高い温度で外側をカリッと焼き上げます。かなり濃い焼き色がつきます。このこげくささとお茶の味わいが合う訳がない。

まあとにかく、目先の評価につられて、旨くもないものを旨いだろうと思ってしまう。自分の目と頭で判断できない。どうしようもない。フィナンスィエってシンプルな配合と作り方ですが、混ぜ方一つで、そのおいしさと味わいが変わってしまう。

前述の機関誌を読めば、旨いフィナスィエを作る力量など少しもないことはあきらかです。

似たようなことがあります。

 

フランスのエシレのバターで作った1400円もするフィナンスィエなんてのを自慢気にもらったことがあるけど、とんでもなくくそまずかった。

ドゥニさんの店ではフィナンスィエに使うこがしバターは安いものを使っていました。

どこのパティスリーでもエシレのバターなんか使いません。エシレのバターはクレーム・オ・ラールなどに使います。

技術が稚拙でアーモンドなどの他の素材を選ぶ目がなくては、エシレのバターを使っても旨いフィナンスィエは作れないのです。作る人間も買う人間も情けない。

協会のお偉いさんはパリ出店のパティスィエの技術の稚拙さを知ってか知らずか、彼にすりより、正に彼を押し上げる風が吹き続けました。

そしてテレビなどマスコミが注目し始めました。

特に彼の面白おかしい猿回し的パフォーマンスは稚拙な番組には向いているのでしょう。ある時テレビをつけたら彼がマカロンをチョコレートでトランペしているのを見て絶句しました。

まあ、マカロンのチョコレートがけなんて聞いたことがないから、彼が最初に考えたのでしょう。凄いといえば凄い、味わいの発展という意味ではなくて、またもや奇をてらった猿回し的パフォーマンスを考える発想の仕方と、それを恥も外聞もなく公衆の面前でやってしまうというのは他の人にはない天才的な能力ですよ。

猿みたいなパティスィエはテレビには便利なんです。とりあえず場を持たせてくれる。

でも菓子屋は総じて利口じゃないから、彼はちゃんとしたパティスィエで卓越した技術を持っていると思い込んでいる憐れな菓子屋のお偉いさんが未だいる。

仙台で氏のフランス菓子技術講習会があったそうだ。講習の最中にやおらシャンパンのボトルを出し、栓を抜き、グラスに注ぎ飲みながら技術の講習を始めたそうだ。

参加者もビックリしたらしいけど、私もビックリした。

日本中が、そして日本のパティスィエが阿保だから、ついに猿回しの猿が勘違いして人間より俺さまの方が偉いんだと思い込んでしまったんだよ。まあ、アルコールなしでは人の前では何もできないケツの穴の小さい人間とも聞いている。

 

 

(パティスリー・ミエを買うことの責任)

私も研修したパリのパティスリー・ミエは、オーナーの意向で売り払われた。それを彼と、全日空が買った。フランスでは街の景観とか歴史的意義を伝える為に、店の外観と名前は変えていけないことになっている。ドゥニさんが仕切っていなくても「パティスリー・ミエ」である。

聞くところによると、フランス人のお客は大きく減り、訳の分からぬ日本人観光客がいる位とのこと。勿論お菓子その他はまずくなっている。昔からのお客さんが「レシピを変えたのか」と聞くと「以前と同じレシピです」と答えるそうだ。

ドゥニ・リュッフェルも言っているように、今は全く洽のパティスィエの集まりと化したルレ・デセールの集まりでは、あちこちで「ミエの昔のルセットゥ持っていないか」と聞き回っているという。

フランス人パティスィエの間では神の如く尊敬されて来た「ミエ」という店を引き継ぐにはそれなりの覚悟がいるはずだ。

自分もパティスィエの端くれだと言いたいのなら日本でアルバイトばっかりやっていないで、フランスで初心者の学校に通って、今一度「いち」から勉強し直して稚拙なお菓子作りを恥ずかしく思い、もう少しはマシなパティスィエにならなければいけない。

重い名を継ぐということは、それを維持する為の大きな責任もあるはずだ。

 

今一度最後に言おう、彼はパティスィエではない。白いコックコートを着た猿が、真実の希薄な時代の流れにのり、自分がこの時代の主役だと思いこみ、あまり利口とは言えない日本人と日本のパティスィエを煙に巻いているだけなのだ。

(業界紙の志の低さ)

 

 

(専門学校にも重い責任の一端がある)

パティスィエの領域はこんな実態のない状態になってしまった。こんな阿保な華やかさに憧れて、多くの、特に女子がパティスィエになろうと、専門学校に行く、しかし卒業して3年もすれば60%がお菓子の世界からいなくなる。(専門学校の責任)

勿論これは業界全体で考えなければいけないことではある。

しかし、多くの製菓等専門学校の責任も大きい。

確かに、料理・製菓専門学校はあちこちに数多くある。

これから若者の数が減少して新規入学者の獲得が困難なのは分かる。

しかし料理・お菓子はうまく作ってこそ存在の意義がある。

おいしいお菓子を教える、これが教育の中心になければならない。そして手仕事はずっと一生の努力が必要で労働時間も長くきつい仕事であることも教えなければならない。

 

 

しかし、華やかな部分だけを強調して早い話が何も分らない若者やその親をだまして、釣り上げようという風潮がとても強い。

つまり、お菓子のデコレーションや砂糖のオブジェ作りだけに力を注ぎこみ、「こんなにお菓子作りは華やかで楽しいんですよ」「私達の学校はこんなにも多くの海外・国内のコンテストで賞をとっていますよ」というアピールである。

そして、技術なんて実はたいしたことないんだがテレビに出ているような、有名シェフを学校に呼んで、巷の人達にアピールする。

普通の人は何の判断の基準なんか持っていないのだから、まあ、これでだまされてしまう。

しかし、入学してみれば、実際のお菓子作りは教授陣も稚拙な技術しかもたない。おいしいお菓子の素晴らしさ、嬉しさも教えられない。食の手作りの仕事の厳しさ、大変さも、まじめな仕事への取組み方も教えられない。

卒業し実際の菓子作りの現場に立つと、「あれこんなはずじゃなかった」ときつい仕事に負け、60%がやめてしまう。

 

私の教室に来る子達の何人かは「学校ではおいしいお菓子など無縁だったし、お菓子ってまずいもんだと思っていた」と真情を吐露します。

確かに菓子屋はきつい、しかし自分の作ったお菓子のおいしさが食べる人を喜ばせ幸せを与えるということを知っていれば、そんなに簡単にやめることはないと思う。

生徒の将来の本当の幸せを考えず、ただ生徒を釣り上げることだけに力を入れる学校ではあってはならないと思う。

○その点で、私が定期的に教えに行っていた仙台の宮城野調理師学園には、学生達に旨いお菓子を作ることの喜びを教えようとしている。見てくれだけではない、こういう学校を選ぶべきだ。

 

 

(全てが崩れ去った手作りの食の領域)

まあこれらの二人のパティスィエは時代の流れに乗って、大きなお金を得たのでしょうから、彼等は大満足でしょう。

しかし、これから同じことをやったからと言って若いパティスィエが、又彼等のように金を得るということで成功するかどうかは分からない。

専門学校は、あさはかで虚飾にまみれた成功を追わせるような教育をやめて、もう一度手作りとは何かを考えましょう。

そして馬鹿の一つ覚えで砂糖のオブジェ作りに専念する疑似パティスィエ諸君、お菓子屋の喜びはそんなところにないよ。

もう一回、額につらい汗を流すことを考えてみよう。

1020年先にはずっとこっちの方が心に残るものがあるよ。

 

 

(私の最後の仕事)

今、私のパティスィエ人生の中で得たもの全てを、私の頭の中を100%移し出そうという本をやっています。

大体200頁の本で5冊位になるでしょう。34年はかかると思います。

今までにない画期的な内容です。

お菓子作りが好きな人が真剣に勉強する為の本です。

この本を見ればフランスに行かなくてもフランス的な味わいが作れる。

1つのお菓子を今まで誰も考えたことのない手法を多角度から分析しています。

 

木べらの混ぜ方だけで、大きな1頁が埋まってしまう。

一つのお菓子を作り上げる為にどれほどの心と体のエネルギーを今69才まで注いできたか分かります。

それを見れば時代の寵児二人のパティスィエ、生徒を心から思っていない学校経営者全てが必ず大きな恥ずかしさを感じるでしょう。

 

 

 

フランス最後の正統の巨人パティスィエ・キュイズィニエ ドゥニ・リュッフェル氏 日本講習会30回記念の新作  塩味のサブレ・ミモレットゥ

ドゥニ・リュッフェルさんを迎えてのイル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画主催のフランス料理・お菓子講習会は今年ついに30回目を終えました。

ドゥニ・リュッフェル氏の料理・お菓子はこの日本で多くの人たちに感動のおいしさを伝えてきました。

彼は、軽薄なミシュラン等のマスメディアにおもねる世界とは全く対極にあるパティスィエ・キュイズィニエであり、フランスでは元大統領のサルコジ氏はじめ多くの食通の支持を得てきました。

 

ドゥニ・リュッフェルはこの30回目の来日を記念し、フランス産のチーズ「ミモレットゥ」の塩味のクッキーを新たに作り上げてきました。

とにかく旨い。旨さに少しの切れ目もない。心と身体、五感に隙間なく押しよせる、なつかしさに満ちた正に正統のフランスの味わいです。

初めて口にされる方はきっと「うーん」と唸られるはずです。類似のものは既にありますが、この比ではありません。

 

一度食べてみなくては分かりません。

是非ご来店下さい。

お届け菓子

毎月お届け!火曜日はお届け菓子の日

 

4月が第1回目のお届けとなります。1年間月1回、季節の選りすぐりの焼き菓子をメインにお届けします。

8月のビールやシャンパンにぴったりの塩味のシフォンケーキ「エルブ・ドゥ・プロヴァンス」、ちょっと早いのですが11月フランス・アルザスのごく少量のパン生地にドライフルーツを混ぜ焼き上げたビルヴェッカ、12月の本場ドイツよりもおいしいと評判のマンデル・シュトレンは毎年定番となります。

その他の月は、前年の新作のお菓子や以前評判を頂いたお菓子等を毎年選りすぐりお届けします。未だパティスリーでは売られていないものや、以前はあったが今はないものなど様々なお菓子が用意されます。

ご利用のお客様は様々で特に地方にお住まいでなかなかイル・プルー・シュル・ラ・セーヌまでは行けないという方にとても喜ばれています。

あるいはお世話になった方や田舎のお父さんやお母さんに、一年間イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのとびきりの味わいを楽しんでいただこうとプレゼントに利用される方もおられます。

他のパティスリーに追随を許さない孤高のおいしさのイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子は決して期待を裏切りません。

今年もあと少しで、3月末でお申し込みが締め切りとなります。

ぜひご利用ください。


お申し込みはコチラ

 

★マークはお酒を使用しています。

お届け菓子カレンダー

4月 タルトゥ・サンチャゴ≪新登場≫

直径約18cm1台 通常価格¥2,900(税抜)

派手な味わいではありません。ふつふつと心に宿る静かなおいしさです。勿論、本物と同じようにとはいきませんが、何とか私の心にかなうものが出来ました。ぜひ食べてみてください。

約8人分 賞味期限6日間

お届け日:前半4/7 後半4/21

 

5月 カレ・アルザスィアン

約17cm角1台 通常価格¥2,100(税抜)

例えようもないパイとヌガーの五感におしよせる味わい、そしてそれと競い合う、深い味わいのフランボワーズ、正に炎のごとく、心と身体を包み込みます。

約8人分、賞味期限3日間  

お届け日:前半5/12 後半5/26

 

6月 百花蜜のクッキー≪新登場≫10枚入 通常価格 ¥2,150(税抜)

プロヴァンス産のコクのある深い味わいの天然はちみつと波照間産の黒糖、クルミを合わせました。香り、歯触り、味わいが重なり、ほっと嬉しくなる美味しさです。

賞味期限10日間

お届け日:前半6/9 後半6/23

 

7月 パッションフルーツのダックワーズ 

10個入 通常価格 ¥2,800(税抜)

軽やかなの夏の為のダックワーズです。さわやかに晴れやかに、精いっぱい楽しく作りました。

賞味期限冷蔵6日間

【冷蔵便】

お届け日:前半7/7 後半7/21 

 

8月 エルブ・ドゥ・プロヴァンスとチーズのシフォン

直径約17cm1台 通常価格¥2,600(税抜)

夏に一度はこれがないとさびしい塩味のシフォンケーキ。エルブ・ドゥ・プロヴァンスの香りが食欲をそそります。朝食にもおすすめです。

約8人分、賞味期限冷蔵2日間

お届け日:前半8/18 後半8/25

 

9月 バナナとココナッツのタルトゥ

直径約18㎝1台 通常価格¥2,430(税抜)

晴れ渡った南の島、バナナとココナッツが手を取り合い、木陰に吹き渡る爽やかな風のような味わいを作り出します。

約8人分 賞味期限3日間

【冷蔵便】

お届け日:前半9/8 後半9/29 

 

10月 クレオル

10個入 通常価格¥4,200(税抜)

さつまいもが滋味豊かなスペイン産のアーモンドに後押しされ、心がふーっと沈み込む懐かしく暖かい表情をみせています。まさしく弓田亨の味わいの一つです。

賞味期限冷蔵5日間

お届け日:前半10/6 後半10/20

 

11月 マンデル・シュトレン 

約18cm×8cm1本 通常価格¥2,500(税抜)

これを食べられたドイツ在住の方も、ドイツで食べたいくつものシュトレンより美味しかったと、声を弾ませて言われます。それがイル・プルーの力なのです。

約8人分、賞味期限7日間

お届け日:前半11/10 後半11/17

 

12月 ビルヴェッカ 

約17cm×7cm1本 通常価格¥2,500(税抜)

フランス・アルザスの伝統的なクリスマスケーキ。アルザス語で干したビルヴェッカ(洋梨)をメインに、さまざまな干しフルーツを加えて焼き上げました。

約8人分、賞味期限14日間

お届け日:12/1 

 

1月 アリュメットゥ・オ・マロン

約9cm×18cm 通常価格¥2,200(税抜)

子供の頃の、どんなことがあっても家に帰れば自分を待っていてくれる人がいる、という暖かさが、栗のポックリとした味わいと重なります。

約6人分、賞味期限3日間

お届け日:前半1/12 後半1/19

 

2月 ムワルー・オ・ショコラ

6個入 通常価格¥2,550(税抜)

チョコレートの生地の中にトリュフを入れた、とってもリッチな味わいの焼菓子です。

賞味期限4日間

お届け日:前半2/2 後半2/23

 

3月 孤高の味わいのマカロン10種

10個入 通常価格¥2,600(税抜)

自然な素材のみで作った、とんでもなくおいしく、身体にも幸せを与えるマカロンです。それぞれの生地に深い味わいを与え、中に挟まれたクリームと競い合わせ、より大きな五感に迫りくるおいしさを作り上げます。 

賞味期限冷蔵3日間 【冷凍便】

お届け日:前半3/1 後半3/22

 

この雨色は一人の菓子職人の最後の心の色なのです

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ、セーヌ川に雨が降る。
ようやく私の情念を表した新しいイル・プルーの新しい青ができました。
染め上げた雨色は正に私の菓子職人としての歩みを表したもの。
私は、お菓子づくりの人生で一つもお菓子に嘘をついたことはありません。
いつも誰も追いつけない領域を一人目指してきました。
深い雨のブルーは、贈られるお菓子とともに添えられた貴方の心を
確かに力強く、貴方の大事な方に伝えます。
お二人の間にそっとおかれた雨色の手提げ袋。
これ以上に真実の心の交わりはありません。
弓田亨
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今年のドゥニさん講習会お菓子の試作をしての感想

今年もドゥニさんの来日が間近となりました。

これまで常に言ってまいりましたが、
フランスと日本の素材の間には、味わいと共に物理的、化学的性質が大きく異なります。

フランスでの同じレシピと技術で、

日本の素材でお菓子をつくってもフランスでのおいしさは

ほとんどの場合正しく再現することができません。

素材の違いを調整する必要があるのです。

今年も7月のはじめに2/3ほどのレシピがドゥニさんから届きました。

今、日本の素材で私が試作を重ねています。

そしてドゥニさんは7月29日に来日します。

講習会の日まで、さらにドゥニさんの指示に従い、本来の味へ調整をします。

これがイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのやり方です。


フランス人を呼んでの講習会はどこでも、フランスでのレシピそのまま。

それでは旨いお菓子ができるわけがありません。

今年も素晴らしいお菓子がいっぱいです。

なかでも新作の、ショコラのガトーバスクはすごい。

私も去年、ショコラのガトーバスクを作りました。

私はスペインのアーモンドの豊かな味わいが埋もれないように作り上げました。

とても旨い。


しかしドゥニさんはショコラの味わいを幾重にも重ねに重ねて、
一つの味わいを作り上げました。

もともとのガトーバスクとは全く別の味わいです。

しかし、その多重性・多様性溢れる味わいには、

到底私の到達しえない、

ドゥニ・リュッフェルの激しい個性と正統の伝統がぶつかりあった、

より深いフランス的な味わいへの底知れぬエネルギーを感じます。



一口含みます。

「んーーー」

私の五感が押しつぶされるような力をもった旨さに包まれます。

やっぱりすごい。もうこの後出現することのない、天与の才に満ちた人です。

今年も素晴らしい講習会になるでしょう。

ドゥニさん講習会はネットからもお申込み頂けます。



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※試作中のガトーバスク



ふつふつと心に宿る静かなおいしさ。タルトゥ・サンチャゴ

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 今から10年ほど前、うまくて安い栗製品を探しにスペインを訪れました。その時、サンチャゴ・デ・コンポステラに泊まりました。この地は有名な大聖堂があり、キリスト教の巡礼のとても重要な地とのことです。

 この地で食べた様々の料理、肉、魚、野菜の力を持った、細胞めがけて突き進むようなエネルギーをもつ味わいに圧倒されました。ただ「旨い」ではないのです。いつの間にか正に「貪り食う」状態にはまっているのです。

 改めてスペインの土の、私の想像を超えた肥沃さを知った旅でした。

 お土産屋さんに積み上げられた大きな安っぽい作りの薄い箱、スペイン語も読めず、それが「タルト・サンチャゴ」という名であることも知らず買ったのが最初でした。何気なくただ日本へのお土産に買ったものでした。

 日本に持ち帰り、箱のふたを取りました。何とも愛想のない見た目です。タルトゥの周りは崩れて何ともいえずまずそう。「まぁ、せっかく日本まで持って帰ってきたんだから」と言い聞かせて小さめに切って、あまり気乗りせずに口に運びました。

一口を口に入れました。

「ん・・・・・・・・・・・」

 慌ててもう一口。

「おおぅ・・・・・・・・・」

 続けてもう一口。全く予想に反した事態に私の意識は言葉を忘れてしまいました。

「んめーーーーーーーーーーーーーー」

 そのあまりに豊穣の極みの味わいに、小さく五感が震えました。

「こんなにも旨いものが、スペインにはまだまだいっぱいあるんだ」

 スペインの土への畏敬の念を改めて強く感じた時でした。以来、自分がスペインに行けば必ず自分のために買い、また誰かがスペインに行くと聞けば半ば強引に頼む。それほどの旨さなのです。いつか日本でも「タルトゥ・サンチャゴ」を作れたらなぁ。ずっとそう思い続けてきました。

 カタルーニャ地方レリダのアーモンドがなければまず不可能ですし、作ろうという気にもならなかったでしょう。今年の初めごろから何度も試作しました。ずっとの思いが熟してきました。

 タルトゥ・サンチャゴの作り方は昔からの本当に単純極まりないものに決まっています。いくつかの素材をシンプルに混ぜ合わせる。それだけだと思います。何も見ることなしにとにかく頭の中にあるイメージを何度も作りました。決して私の頭の中のイメージが先走りしないように、アーモンドを中心とした素材の味わいを自然につつましやかに混ぜる。それだけを心掛けました。

 派手な味わいではありません。ふつふつと心に宿るしずかなおいしさです。勿論、本物と同じようにとはいきませんが、何とか私の心にかなうものが出来ました。ぜひ食べてみてください。

 本当はタルトゥの中心のマークは十字架です。でもクリスチャンでもない私がそれまで真似をしたら不敬であると思い、IL PLEUT SUR LA SEINEの頭文字のIにしました。

 何か自分のために作ったようなものです。以来、私の心はいつも以上に浮き立っています。以上、ご案内申し上げます。

※このお菓子は買ってから10日間は、たとえ乾燥してもパサついてきてもおいしさは少しも失われません。20℃以下なら冷蔵庫に入れる必要はありません。

ケーキをデコレーションしない理由

お菓子にとって何が一番大事だと思いますか。

勿論それはとびきりのおいしさです。食べる人に心で身体を満たす喜びと幸せを与える為にお菓子はあるんです。

決して見た目を満足する為だけにあるのではありません。私が、初めてフランスにフランス菓子の勉強に行った頃は、お菓子のデコレーションはとてもシンプルでした。表面にチョコレートやココアを一面にかけ、そして真ん中に小さなその店のシール(エティケットゥ・メゾン)が付いているだけでした。しかし、チョコレートの鏡のようなガナッシュや一面に振り掛けられたココアは、寂寥感や、有無を言わせぬフランス菓子の伝統の力などを示し、そして一番大事なお菓子の味わいを深く暗示し、刺激するものでした。しかし今はフランスも日本も奇異をてらった見せかけや素材の組み合わせでお客やマスコミの気を引こうというパティスィエやキュイズィニエばかりです。

肝心のお菓子の味わい、おいしさもうどうでもよくなってしまっています。

フランスも日本も変化し、まずいお菓子ばかりです。そしてそのまずさを隠す為に作り手の自信のなさを隠す為には、プティガトーでも何かをのせてお菓子のまずさを隠そうとする、そんな手合ばかりです。

実は初めの店、そして代官山へ移転してから数年はこれを貫いていましたが、シェフが変わるにつれ、どうしても上に何かをのせようとする傾向は強くなってきました。そして上に何かのることでお菓子は間違いなくまずくなっているのです。

私と、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌは、今度イル・プルーで育ち、私の心をよく知っている福田君をシェフに迎えました。これを機にさらにプティガトーのお菓子の表面には味わいを暗示するもの以外はつけないことにしました。

もう一度、私のお菓子作りの中核となる考え方に戻さなくてはいけないと考えました。

そして丸いお菓子を無造作に三角形に切ってショーケースに並べることはせずに以前のように、長方形に全ての形をそろえました。勿論、丸いプティガトーはそのままですよ。

そうするとどうでしょう、本当にお菓子の迫力が、ショーケースのお菓子の綺麗さが    とんでもない力を持ってくるんです。

開店時のショーケースの中、本当に素晴らしいですよ。

そして、ああこれがイル・プルーなんだと思いました。いつの間にか本筋からそれて来てしまっていたことを悔やみ恥かしく感じました。

お菓子はおいしさが全てです。

お菓子の整った飾りにつられてそれを買ってもまずかったら残るのは腹立たしさのみ。他に何の感情も残りません。むしろ見た目と中身の大きすぎるギャップにより頭にきますよ。

おいしかったら多少の仕上げの汚さなんかどうでもいい。少しも責める気にはなりません。それが食べ物なんです。

お菓子の表面に手間をかける余裕があるのなら、それを全てより精度の高い印象的なおいしさの為に注ぎ込め。これが私の開店以来の考えです。

フランスも私が初めて渡仏した頃とは全く別な国になってしまいました。

社会主義政権を通して、仕事をしない人の為のばらまきの国になってしまいました。

私達手仕事の領域は1人のパティスィエがその手で作り続けていくことです。1人の作れる数量は限られています。サイン1つで大きな金が動く仕事ではない。

しかもフランスは週の労働時間は35時間―手作りで物が作れる時間ではありません―

とうの昔にかつての正統な伝統はもう崩壊しています。

おいしさなんてどうでも良い、どうやって手を抜いて形を作り上げるか、そんな手仕事になってしまいました。

奇異をてらったアクロバット的なものを作りマスコミにのり、一発当てよう、そんなパティスィエやキュイジィニエが殆どなのです。

皆さんが有難がているギッドゥ・ミシュランの星も今は完全に昔の正統性を失ってしまいました。星が増えるほど料理がまずくなります。

これは私の揺るぎのない確信です。

 

お菓子は例えば細長く40㎝ほどに作ってそれを幅3cm強に切ります。

プティ・ガトーは切り分けた断面が本当に綺麗なんです。自然の色合いのビスキュイやクレームの色合いの重なり、本当に愛しくなる美しさなんです。これを口に入れる前に是非しっかり見て頂かなければなりません。それでイル・プルーでは透明のセロファンにはさんで、断面が見えるようにしてあるんです。この考えはバースデーケーキにも貫かれています。

今年、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌでは、短時間でフレッシュにできるバースデーケーキを揃えましたが、これもやはり、バースデーの嬉しさを一番高めるのはとびっきりのおいしさであり、これを忘れて人形やバラだけをのせるものは作りません。

この新しいバースデーケーキも私が何度も何度も試作を続けて作り上げた味わいです。

勿論、バースデーケーキは印象的な心に残るものでなければいけません。人形やバラなどのデコレーションも大事です。イル・プルー・シュル・ラ・セーヌではとびっきりのおいしさの上にデコレーションを飾りつけます。

 

最後に、プティガトーなどの表面に何もつけないシンプルさは、私達はあらん限りの意識をお菓子の中身、味わいに注ぎ込むという自戒でもあるのです。

 

新たに2種のマカロンアイス レモンのシャーベットとヴェルヴェンヌ(レモンバーム)のアイスクリーム

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 もうマカロンのアイスクリームとシャーベットのとんでもねぇ旨さは十分に分かって頂けたことと思います。新たに2種類が加わります。レモンのシャーベットと香草ヴェルヴェンヌ(レモンバーム)のアイスクリームです。

 レモンのシャーベットも、もちろん皆さんの味の想像を超えた旨さですよ。私共が入れているフランス、アプチュニオン社のスペインのレモンジュースを使ってのものです。スペインのレモンジュースは国産、アメリカ産など、この日本で手に入るレモンのイメージを完全に超えています。初めての人は薬臭いと思うほどの清冽さを持った香り、国内で手にするものとはまったく別世界の味わいです。味わいも清冽さの極み、五感に鋭く突き刺さり、深く厚く、舌の感覚全てを包みこみます。もうたまりません。

 既に述べているようにシャーベットは果汁の味わいがすべて。あとはちょっとの配合の調整だけです。一口、口に入れれば冷たさだけでなく、夏の陽をはねのけるエネルギーも満たされてきます。夏にこの味を知らなくては不幸です。

 ヴェルヴェンヌのアイスクリームは、まずアイスクリームの基礎となる卵黄、砂糖、生クリームを一緒に加熱してとろみをつけたクレーム・アングレーズを用意します。たっぷりのヴェルヴェンヌ(レモンバーム)の乾燥した葉でとった煮出し汁と、バナナ、

オレンジ、パイナップルのジュースとともにアイスクリーム・メーカーにかけて作ります。これは頭も心もエネルギーの塊のような状態にあった50歳前後につくったもの。あのころの自分の情念がひしひしと感じられます。今はそれにこれまでの人生が作り上げた軽やかなリズム感が加わってきます。

 とにかく夢見るようなおいしさです。日頃心の片隅に忘れてしまっている、ほら、だれにもある無垢な生命への憧れ、一口、口に含むと心と身体の感覚が新鮮にパッと目覚め、ちょっとの間、私の心には汚れのないちょっと切ない素直な思いが満ちるのです。

 この味わいも間違いなくも皆さんにはまったく新しい領域のものです。

 このアイスクリームによって、皆さんはイル・プルー・シュル・ラ・セーヌの味わいの感覚の広さと多様性に驚かれるはずです

8月1日(水)より発売スタートです!

やっとバレンタインに間に合いました

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バレンタインに合わせて作りたかった
チョコレートのお菓子、何とか間に合いました!

L’amour d’un diablotin(ラムール・ダン・ディアブロタン)
名づけて、「小悪魔の恋」。

これほどまでに深い思いに満ちたチョコレートはどこにも存在しませんでした。
小さな胸に深く息づく思いが、チョコレートに溶け込み・・・
きっとこれを食べる人は小悪魔の心の揺れに気づくはず。

2月10日(金)~14日(火)の5日間だけ、特別に店頭で販売致します。
1個税込600円。

黒糖のカステラ

黒糖のカステラ

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 さぁ、やっと出来ました。心と身体にしみこむ「人間」のためのカステラが出来ました。完成してからも何度も何度も食べました。食べるにつれ、味わいが深くなってくる、五感に深くしみいる、懐かしさに満ちた安ど感と幸せ、正しく私達が「日本」を失う以前の、日本人の味わいのカステラです。以前のカステラ以上に重厚で素朴な味わいです。
 しかし、この味わいに辿りつくまでには大きな難関がありました。私の舌が満足するまで、黒糖を増していきました。ところがある一定量を超えると、黒糖に含まれる砂糖(ショ糖)以外の成分が生成中に生地の下の方に落ちていき、底にゴムのような厚い層が出来てしまうのです。10回近く試しましたがダメでした。暫くの苦闘の後、私の天才的なしつこさによって、これを克服することが出来ました。黒糖のシロップに強力粉を加え、強くよく混ぜグルテンを十分に出し、これで黒糖をグルテンの網の目でハンモックのように包み、下に落ちるのを防ぐことが出来ました。分かってしまえばコロンブスの卵です。でも私以外には考えつきません。
 今の日本に、これ以上に素朴で暖かく、力に満ち、心と身体を満たしてくれるカステラ、味わいは存在しません。是非一度お試しください。さぁ、次は来春までに「よもぎのカステラ」を作り上げます。

2011年9月吉日
弓田亨

☆只今パティスリー店頭で試食配布中☆
正式発売は、10月1日(土)予定

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