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とにかく良い状態のワインを探すのは至難の技

私がフランスで菓子の勉強をした、パリの高名なパティスリー・ミエのシェフ、ドゥニ・リュッフェルは、27年前から毎年日本で料理と技術講習会を行っています。彼はミッテラン社会主義政権のばらまき政治で変質、崩壊してしまった手仕事の領域の、正統な伝統の中で育った最後の巨人パティスィエ・キュイズィニエです。

彼はもうフランスでも作り手のいなくなってしまった本来のフランス菓子・料理を作り続けます。彼の料理お菓子は食べ手の身体と心の幸せや喜びの為の本来の真実の料理です。彼はミシュランを喜ばすようなアホなど事をしようとは少しも考えない。彼は料理作りの中でフュメ・ドゥ・ポワソンや魚のソースには辛口のサンセールを使います。赤ワインは料理によってブルゴーニュ、ボルドーを使います。また時にはアルザスの煮込み料理の仕上げにはアルザスの白ワイン、リスリングを使います。

彼は、実際の講習会の5日前に日本に着きすぐに料理・菓子の試作を始めます。私は、彼の考え方、料理の味わいを知っています。フランスで食べる彼の料理は一皿でも期待を裏切ったことはありませんでした。日本での試作の味が芳しくない場合は、必ず日本の素材に問題があります。少しでもまともな食材を捜すために、とんでもなく意味のない労力と無駄な出費が毎年ずーっと続く訳です。

それはワインでも同じで、毎年少しでも良い状態のワイン捜しをしなければなりません。ドゥニさんが来てから始めなければ無駄なんです。1ヵ月以上前に早めに捜しても、同じワインが半月後には大きく変質してしまうのです。とにかく良い状態のワインは殆ど見つからないのです。

ドゥニさんの料理を正しく再現する為に30004000円くらいのワインを捜します。あっちこっちから赤白78本取り寄せて、良い状態には程遠いが目をつぶって使おうと思うのが1本やっと見つかる。そんな具合です。何人かのワインに詳しい方の紹介でしっかりとした輸入業者とやらに「状態は良いですか」と念を押し、自信満々で持ってこられたものです。何とか使えるほどましだったものは1本もありませんでした。彼らは自社で入れているワインの状態も分かっていないのです。

まあ、日本のソムリエもキュイズィニエも日本でのワインの状態なんか分かりませんから、レストランで本当に旨いソースの料理には殆ど巡り会えない。どんなにしても使えそうなのは見つかるわけがないので、ある年からドゥニさんにフランスから手で持ってきてもらうようになりました。現在は1ヵ月前に航空便で前もって送ってもらっています。腐っているものや亜硫酸塩が加えられたものよりは、ずっと良い状態ですが、本来の味わいとはかなり違います。このことについては後述します。

殆どの人がそれぞれのワインの本来の味を知らないか忘れているのです。例えば良い状態のリスリングは短い新鮮な酸味が特徴です。でも日本のレストランでは、変質して間の抜けた甘口になってしまったリスリングを、疑うこともなく甘口の白ワインとメニューに書いて出しています。

>>>続く

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