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2012年9月

日本一の旗について

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 日本一とは紛れもなく、日本で一番おいしいお菓子をお出しするということです。
 何かコンクールがあって一番になった訳ではありません。
 菓子屋は一年を通しての仕事です。一年中どれだけおいしいお菓子を安定的に精度高くお客様にお出しできるかということが全てです。
 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子は間違いなく、日本で、いや世界で一番おいしいと言って下さるお客様は本当に多くおられます。
 又何よりも多くのパティスィエが、それを認めています。私のことなど大嫌いな人も多勢います。でも彼らも内心ではしぶしぶ、それを認めているとしよう。私もそう思っています。
 ある高名な洋画家の方は、昨年の大震災、それに続く福島第一原発事故の後、フランスの友人から次のような手紙を貰ったそうです。
「早く危険な日本を離れて、フランスにくるように。」
 強いお誘いを受けましたが、日本にはフランスよりおいしいイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのフランス菓子があるので、日本にとどまることにしたのだと、仰っていただきました。とても嬉しく、有難い言葉です。

 私はホームページの中で、私以上においしいお菓子を作れるパティスィエは少なくともこの日本にはいないと広言しています。この言葉に異論があるならば、その方々とどんな形であるにせよ、ちゃんと受けて立つとも広言しています。
 でも誰も挑戦しようとはしません。

 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子のおいしさとは実は2つのものがあります。
 その1つは実際に私が作り出すお菓子のおいしさです。これにはどんなパティスィエが逆立ちしてもどうにもなりません。私の作るフランス菓子は他のパティスィエの作るお菓子とは全く違う次元のおいしさなのです。
 次に店に並ぶお菓子です。これは私が実際に作る訳ではありません。
 私のおいしさがあって、それを他の人間に作らせる訳です。実はこっちの方が、私にとってはずっと難しい。
 まず私のお菓子に対する考え方、熱情、技術、そして私が作り出す味わいを五感全てで受け止め、理解してくれるシェフが必要です。そしてこのシェフには彼が抱いているお菓子のイメージを実現する為に、彼の数名の部下たるパティスィエを使いこなし彼らの意識を結集しまければなりません。
 過去においてある時期では、イル・プルーのお菓子はかなりまずいものになってしまったこともありました。しかし今はまあ、私も昔より人を使うことにも少しは成長してきました。そして何よりも、私の考えを理解しようとするシェフが続きました。
 そして今、イル・プルーで初めてお菓子を作り、ずっと私と触れ合ってきて、その後私の生涯の友、フランス・パリの高名なるパティスリーミエのシェフ、ドゥニ・リュッフェルの下で勉強してきた福田君が新シェフとなりました。私は今自信を持って、店に並ぶお菓子は他の追随を許さない旨いお菓子であると絶対的な自信を持っています。
 私は毎年四月お菓子教室に入学される生徒さんに初めての授業で必ずこう伝えます。
「どんなに遅くても夏が過ぎて少し涼しくなり、感覚が冷静になってくると、ここに入学するまであれ程おいしいと思っていた、有名シェフや有名店のお菓子が全く物足らないものになってしまい、もう食べる気はしなくなります。」と。
 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子の味わいを知って教室に来られた方はそう思って入学されたので、ニコッとしながら頷かれる方もおられます。
 でも、そうでない方は「このおじさんは調子のいいことを言って、こんなところへ入って大丈夫かなぁ」と疑わしさいっぱいの表情をなされます。
 でも早ければ2~3ヶ月で多くの方がそう思われるようです。そして卒業の頃になると実に多くの方が「先生の言われたことは全くその通りでした」と言われます。
 又、ある方は卒業の折りのクラス全員での寄せ書きの中に「イル・プルーのお菓子は衝撃の連続でした。おいしさということを通り越して、これ程までに食べ物が食べる人に感動を与えるものかという驚きの連続でもありました。」と書いてくださいました。こんな風に思って頂いて、私も心から嬉しいし、菓子屋として幸を感じます。

 ついでにフランス、その他の国で行われるお菓子のコンテストについてです。大きなコンテストで、世界で一番の賞をとったというと、何かお菓子作りの全てで世界一かと殆どの方が考えられるでしょう。
 そうではありません。
 コンテストの中心となるものは、砂糖を溶かした飴で花やその他のオブジェを作るなどの、日々の菓子屋の仕事 では殆ど関係のない特殊な狭い領域の技術の見せ比べなのです。
 お菓子のおいしさも大事な審査の対象となるなどと言いますが、これは形だけのことです。
 菓子屋にとって一番大事なことは日々の精一杯おいしいお菓子作りに全てを注ぎ込むことです。
 しかしコンテストで競われるのはおいしさではありません。
 果してコンテストで良い成績を得た人のお菓子がおいしいのかどうかはもう、皆さんが自分の舌で判断しなければなりません。
 とにかく、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子の味わいを一度知ればそのことは自然に分かるようになります。
 私達イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのパティスィエ達にとっては、毎日がコンクールなのです。

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