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2011年4月18日 (月)

帽子

私達イル・プルー・シュル・ラ・セーヌでは、本当に小さな喫茶室ですが、着席し、お菓子をお召し上がられる場合は、帽子などを取って頂いています。これは次のような考えによるものです。

 

日本人は、かつては礼儀正しく、正義を重んずる国民でした。しかし、今の日本人の心と身体は荒廃しています。電車で、しかも優先席で、目の前に老人や妊婦が立っていても、全く無視。席を譲ろうという素振りも気配も感じられません。全く情けない国になってしまいました。

歩いていて自分の持っているバッグが人に強く当たっても知らんふり。朝の電車の中で肉まんを食べるお嬢さん。恥も外聞もなく化粧をしている女性達。食事の時に足を組む人達。一体、かつての日本の心はどこに行ってしまったのでしょうか。

 

どんなに時代は変わっても、失っても、変わってはいけないものがあると思います。

 

昔は日本では、室内に入ればかぶり物は取る、そして座って食べる時は決してかぶり物をつけたままなどということはありませんでした。

最近は寿司屋さんや居酒屋さんでは帽子をかぶったままは当たり前。若い人だけではありません。4060代のおじさんまでが、若ぶってか、若者のすることに理解があるところを見せたいのか、堂々と帽子をかぶったままの食事です。とても嘆かわしい。ここはアメリカではありません。日本なのです。アメリカや他の国の習慣を真似をすることはありません。

日本人がずっと培ってきた「日本の形」というものがあるのです。これすら守れなくて、正義感に富んだ弱者に対して優しい、思いやりのある国民にはなれるはずがありません。私達は戦後、特にバブル経済期には、経済的価値のあるものだけが大事にすべきものであり、それ以外のものは、他人や弱い人への思いやり、優しさ、助け合う心など、日本人としての固有のものであっても全く価値を持たないものであり、守る必要のないものだと考えてきました。そして人と人のつながりや正義感、礼儀が失われてきたのです。

 

私達が本当に一生懸命に作ったお菓子が、私達の喫茶室で、帽子をかぶったままで食べられる。これほど私にとって不快なことはありません。私達のお菓子作りの考え方と、日本の心、礼儀を大切にしたいと言う考えは表裏一体なのです。私達のそんな考えを理解して頂ける方々に私達のお菓子を食べて頂ければこれほど嬉しいことはありません。また、私共の考えが理解できない方は、決して私達のお菓子の味わいを深くは理解されることはないと思います。

 

想像も出来なかった東日本大震災が日本を襲いました。この危機が、バラバラになってしまった日本人の心を一つにまとめてくれるだろうと言われています。しかし阪神淡路大震災の時も同じことが言われました。でも日本人の心は少しもまとまらず、益々バラバラになってきました。

日頃から日本のあるべきものを大事にする。自分より弱い人達には気づかう。このような心が常日頃から大事にされていなければ、今、被災者を思う心も、やがて時間と共に希薄になり、元の、人々が疎遠な社会に戻ってしまうように思えてなりません。

 

残したい、守りたい味わいは、作り手と食べ手のお客様のお互いの考え方の理解も無ければ長く保つことは出来ません。私達はそんな思いで日々お菓子を作り続けています。

 

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雑感」カテゴリの記事

コメント

先生、こんにちわ、イルプルのツイッターからこちらに来ました。

実は先生の喫茶室にはよくお伺いします。

そして「帽子の・・ご遠慮ください」を見ておりました。

そのときに私が考えたことをお話します。

○ 先生はすごく礼儀に厳しい方だからこういうことにこだわるのだろう。

○ お客さまがどんな顔をしながら召し上がっているか作り手がみたいからかなあ?あの向かいのお教室から見てるのかもしれない。

やはり正解あったと思いました。
そしていつか質問してみたいと思っていました。

私の小さいころはまだこんな風習はあって、自分はそういうことをまだ知っているほうですが、本当に日本人が大事にしてきたことを面倒臭いとか時代が違うとかで片付けられてしまうのは違うような気がします。

日本は大変な災害に逢いました、日本人にいろんなことを気づかせてくれたことが多いといわれていますが、まだまだ気づいてない方も多いというお話も聞きました。

こんなに大変なことが起きても気づかない人がいっぱいいるのは悲しいですが、私は日本人としての礼儀とか風習とかを大切にする人でありたいです。

そんなお考えを持っている先生にお菓子を習えたことが私には誇りで仕方ありません。

投稿: 熊谷則江 | 2011年4月24日 (日) 12時00分

どうして女性ばかりを批判なさるのでしょう?
この間バスの中で,奥さんに対してどなり散らすおじいさんを見ました。「なんでそんなこともわからんのか!」と。気分が悪かったです。
私が地方に住んでいるからかもしれませんが,
世間の人が言うほど,現代の女性たちは浅はかでないと思うのです。
3歩下がって,というようなことまでお望みなら
それはあなたの方がずっと浅はかです。

あなたの食に対する考え方はとても好きです,だからこそ思ったことは正直に話したいのです。

投稿: まりな | 2011年7月19日 (火) 11時13分

まりなさん
コメント拝見しました。

よく文章を読んで頂ければご理解いただけると思いますが、女性だけを批判したつもりはありません。
本文でも述べていますが、年配の男性でも室内で帽子を被ったままの方などを見ることがあります。そんな時、日本人として嘆かわしく思います。

今回、震災で日本人の礼儀正しさに世界が驚きました。でもそれは本当にそうでしょうか。今は「絆が大切」と言っていても、また少し経ったら震災に遭われた方々のことも、忘れてしまうのではないか。そんな危惧を私は抱いています。

「帽子」は、そういういろんな“日本人”が忘れ去ってしまった事柄の一つとして象徴的なものではないかという意味で書いたものです。決して女性を批判するために書いたものではないことを、改めて付記します。

投稿: 弓田亨 | 2011年7月21日 (木) 09時31分

はじめまして。いつもケーキをおいしく頂いております。今日は久しぶりに喫茶室で頂いたのですが。。サーブして下さった男性スタッフのシェフコートがあり得ないほど汚れていて驚きました。ケーキの美しさよりも目を奪われるほど、全体的に汚れだらけです。非常に不快でした。外に出て接客されるのなら、清潔感は最低限のマナーだと思います。これでお客さまの服装についてあれこれ仰るのはいかがなものかと思います。また、病気やけがなど、何らかの事情があって帽子をかぶってらっしゃる方もいるのではないでしょうか。お店側が緊張感を持ち、心からのホスピタリティをもっていらしたら、わざわざ立て看板を出さずとも、お客さまのマナーは自然とよくなると思います。生意気を申し上げてすみません。ファンであるばかりに残念でしたので書かせて頂きました。

投稿: 雅子 | 2011年8月 5日 (金) 16時19分

雅子さん
お返事遅くなりました。ご指摘、真摯に受け止めます。ありがとうございました。

投稿: 弓田亨 | 2011年9月26日 (月) 08時33分

弓田先生へ

私も以前、この文章が大変不快に思えたので、批判的なことを投稿してしまった経験があり、でも本当はイルプルーのファンでもありますので後悔しておりました。
イル・プルーを愛していることを書かずに、文句だけ書いてしまって申し訳ございませんでした。
何だかんだ言っても好きなお店なので、これからも利用させていただきます。
でも、一言、世の中そんな捨てたものじゃないですよ、先生。
若い素晴らしい方たちがいっぱいいます。
それと同時に年配者の方で礼儀やマナーをわきまえていても、意地悪だったり、人を見下したりする人もいっぱいいます。生意気申し上げてすみません。

投稿: | 2011年11月10日 (木) 23時42分

コメントありがとうございます。
イルプルーのファンであるとのこと、嬉しく思います。これからも忌憚のないご意見、お聞かせ下さい。

投稿: 弓田亨 | 2011年11月11日 (金) 11時24分

女性も室内で脱帽するのかな?英国王室とか天皇家はよくかぶってるけど・・・まあなんにせよ我々男は脱帽が基本ですな!ただ今の男はあんまり髪型をピシっとかためるのはダサいみたいな感じなので、帽子を外すと変にペチャンコになっててかっこわるいということで脱ぎたくないんでしょう。ファッションが変わってきてるので仕方がない面があるんでしょうね。昔はシャツは下着という扱いなのでウエストコートを着ないと歩いたら駄目っていうマナーだったけど、今は誰もそんなこと言わないし、帽子もドレスコードがない場所では脱がないのが普通になっていくんでしょうな。

投稿: 通りすがりのおっさん | 2011年11月24日 (木) 15時44分

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