あなたは自信をもってチョコレートのおいしさを自らの感覚と言葉で描写することが出来ますか?
敢えて質問させて下さい。
あなたは自信をもってチョコレートのおいしさを自らの感覚と言葉で描写することが出来ますか?今、実際に使っているチョコレートの香りや舌触りや口溶けや味わいの特徴、そして全体のイメージを詳しく説明することが出来ますか?
おそらく多くのパティスィエが最高の味わいのチョコレートと考えているヴァローナ社のチョコレートの味わいを自らの言葉で細かに綴ることが出来ますか?
フランス人パティスィエやショコラティエが日本で、そのチョコレートを使ってデモンストレーションをしたからか、あるいは日本人の有名パティスィエやショコラティエが使い、おいしいと言っているから間違いないだろうとかの理由で選ばれている場合がほとんどではないでしょうか。
多くの方が自らの感覚で判断して選ばれたのではないと同時に、日頃使っているチョコレートの味わいをあまり理解してはおられないのではないかと想像します。
それは無理もありません。日本人にはフランスほどチョコレートが日常的に生活の中に入ってきている訳ではありません。下手をすれば、パティスィエであっても、チョコレートを食べるのは毎回バレンタインディの時だけと言われる人も少なくないでしょう。まぁ、理解していないとしても、極めて普通のことです。恥じる必要はありません。一番いけないのは、少しもチョコレートの味など理解していないのに、自分がデモンストレーションをして、雇われたメーカーのうまくもないチョコレートを他の人たちに押し付ける有名パティスィエです。
またフランス人だからといって、すべてのパティスィエやショコラティエがチョコレートの味わいを知っていると思ったら大間違いです。
フランス人パティスィエでもチョコレートの味わいを知っている人は本当に少ないと思います。何故なら私は少しもおいしいとは思わないヴァローナのチョコレートを未だ多くのパティスィエが素晴らしいと思って使っているのですから。
私は少なくともこんなフランス人パティスィエよりは、より深く、チョコレートの味わいを知っています。
2~3年前、私どものチョコレートが比較的安かった頃に、ある方に言われたことがあります。「ペックのチョコレートは安いという理由だけでお客さんに買って貰っている。それがヴァローナのチョコレートと同じ値段になっては、ペックのチョコレートなど存在価値はない」と。
これは私にとって、とても悲しい言葉でした。つまりペックのチョコレートはおいしさもなんにもない、三等級の品質だと言われているのです。でもそれは仕方がありません。この方の考えが、チョコレートに対する日本人の平均的な理解度であると思います。
でも、ペックのチョコレートをしっかりと味わいの感覚を舌先と鼻を集中して食べてみて下さい。出来ればヴァローナのチョコレートと同時に試して下さい。答えはすぐに出ます。チョコレートの味わいの感覚に自信のない人は、どこでも作っているガトー・ショコラ・クラシックなどを作ってみて下さい。どうしてこれほどまでにおいしさに違いが出来るんだろうとだれもが初めは驚いてしまいます。もう他の人の言うことを鵜呑みにして何かをやっていける時代でもないと思います。自分の五感で判断する習慣をつけなければならないと思います。
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