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第23回 日本で唯一ビールの味のするビール

 昨年の三月頃、近くのあまり流 行っていないスーパーの見ただけで回転が悪いと分かる冷蔵ショーケースの中に、「銀河高原ビール」という、もっともらしい子供だましのようなネーミングの ビールを偶然見つけました。この会社のビールにも、何種類かのビールがあることを分かったのは後のことですが、その時は「白ビール」という表記に惹かれて 買いました。ベルギーの白ビールは本当にうまい。人なつっこい酸味がつくるうまさが、口に語りかける。一杯飲めば、何とも言えない安心感に満ちた満足が、 身体と心に満ちてくる。
      
 アサヒのスーパードライをはじめ日本のメーカーのビールは、飲んで気分がシラケるものばかりだ。ちょっとした味の違いや、本当にアホな日本人を全く子供 だまし以外の何ものでもないネーミングで煙にまいて、もっともらしさを作り上げる、そんなビールばかりである。最近はまたとんでもないアホの極みのビール が、サントリーから出たようだ。飲んだこともないし、飲んでみる必要もない。飲んだ途端に味わいが消える、“超切れ味の良いビール”何だそりゃ。そして、 雨後の竹の子のように、あちこちに出来た地ビール。頂いたりして、それなりの数を飲みましたが、どれもクソまずい。どのビールも「切れ味」にこだわってい る。折角豊かに醸し出された味わいを、「切れ味」を出すため取り除いてしまう。だから、どのビールもシラケた味わいになってしまう。この日本では例えドイ ツ人がつくっても、やっぱりつまらない味わいになってしまう。

      

  今までのこのような経験で、当然私は銀河高原ビールもそんな類のものでしかないと思いつつも、「まぁ少しでも白ビールのニオイでもすりゃイイカ」てな具合 で、以前飲んだ白ビールへの懐かしさ故に買ったのでした。そして、家で飲んだ。「オコリャ、飲めるわ。そんなひどくはねぇわ」。ともあれ、白ビールの味わ いはあるし、香りもある。何より日本のビールの、口に入れてから尻切れトンボの味わいではない。味わい、香りが切れないでずっとのびる。「へぇ、日本にも こんなビールあったんだ」私は少し嬉しくなりました。

      

  次は、仕事からの帰りに、駅の途中の酒屋で「銀河高原ビール」を買いました。白ビールと苦みのピルスの二種類があったので、全部2本づつ買いました。そし てギネスのエクストラです。私はそれまで、ビールは最近はこのギネスのエクストラしか日本では殆ど買ったことがありませんでした。久しぶりにそれ以外の ビールを買いました。この酒屋は割合回転がよく、ギネスがうまい。もともとギネスなんてあまり買う人がいないと思います。殆ど動かないところもあると思い ますし、そういうところで買った古いギネスは全然おいしくない。

       

家で早速白ビールを飲みました。うまい。1回目の、流行っていないスーパーのものよりずっとおいしかった。嬉しくなって、他の2種も続けて飲みました。うまい。

       

他の2種類は似たような味わいで、その点では物足りないけど、やはりうまい。

       

それ以来、私の冷蔵庫には忘れた時以外には、いつも銀河高原ビールがあり、時によって気分によって、ギネスと飲み分けています。暑い時などは、まず爽やかな銀河高原ビール。そしてその後に、味わいの更にしっかりしたギネスといった具合です。

      

 本当においしいビールは、喉がかわいた時でも、2本 も飲めば充分に身も心も満足します。今はガブ飲みをすることはありません。以前は味わいの希薄な日本のビールを、私もただただ謂れのない激しい惰性でガブ 飲みしていました。アサヒのスーパードライはおいしいから何杯でも飲めるのではありません。トリックなんです。いくら飲んでも飲んだという実感が、心と身 体に少しも残らないから、ビールの味わいを求めてまたむなしく慌てて口に流し込むのです。(詳しくは「破滅の淵の裸の王様」を読んで下さい)このとんでも ないビールの出現で、現におかしくなりかけていた日本人の食の領域は更に一気に加速し、異常な空間につきすすんできたのですが。

      

  日本でも、銀河高原ビールのような味わいのしっかりしたビールが主流になったとしたら、本当に楽しいでしょうね。そういえば、新聞でこの会社はあちこち手 を広げすぎて、倒産したってありましたけど、もう一回地道にやり直して欲しいですね。そして決して、他のメーカーの同じような味わいには変えないで欲し い。私共のフランス菓子の店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」も、味わいを守るために決して支店を出さずにやっています。それでもたった1つの店での 不本意なお菓子がちょくちょく店頭に並びます。手を広げれば広げるほど、本当のおいしさからは遠ざかってしまいます。       

ま、これは実に当たり前の道理です。

      

本当に頑張って欲しいです。

(2006.2.15記)


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